【エフェクターレビュー】Empress Buffer plus 最もユーティリティ溢れるバッファーペダル

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前回のバッファー解説の記事が好評だったので、ついでに手持ちのバッファーペダルを一つご紹介しましょう。これが中々便利なんです。

 

Empress Buffer Plus

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Empress Effectsは、カナダの天才エンジニア集団によるレコーディング機材レベルのエフェクトメーカーです。

何がどうレコーディングレベルかと言うと、多分基本的にローノイズかつうす味な所です。

動作環境を選びにくく、主に電源部の工夫によりどんなサプライを使っていても一定レベルまで昇圧され、電源由来のノイズや動作の不安定さをカットしています。

エフェクト自体は使いやすい優等生で高品質な物が多いですが、ここに+αで独自の面白機能を盛り込んで来るのがEmpress最大の特徴です。

中学生の考えた最強ペダルってくらいそれはもう盛り込んできます。

製品に妥協しないあまり値段が高めのペダルが多いですが、ここは高品質の裏付けという事にしておきましょう。

 

ボードの便利屋さん

さて今回のBuffer Plusはどんなペダルかと言うと、同社Bufferに多数の機能を盛り込んだバッファー兼ブースター兼ジャンクションボックス兼スプリッター、ノイズフィルター添えとかいうEmpressらしいモリモリペダルとなっております。

一つ一つ解説しましょう。

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はいこれが実物の画像。中古で買ったせいもありますが、届いた時思ったよりカチッとしてなくてちょっと残念でした。

十分お上品な佇まいではありますが、塗装がちょっと荒かったりしてネットの写真程シック感はありません。

バッファー兼ジャンクションボックス

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まずは基本の使い方から。見たまんまですね。Plusでない普通のEmpress Bufferと同様にバッファーとして、そしてエフェクトボードのインプットとアウトプットを一か所にまとめるジャンクションボックスとして働きます。

この時点での違いを上げるとBuffer Plusではフットスイッチを長押しする事でループアウトの出力を切り、チューナーアウトのみから信号が出力されます。この切り替え時にポップノイズなどは発生しません。

もう一度押すとまた元に戻ります。チューニングモード中はランプが赤色になり、直前にブースターをオンにしていた場合は解除と同時に再びブーストモードになります。

ちなみにブーストモードでのランプの色は後です。

 

あ、そうそう。バッファーの音質としては、やはり若干の色付けがあります。

若干つややかで、中低域がすっきり、高音域も整理されて聞き取りやすい音になります。実は私はそこまで好きな音ではありません。

が、ギターを音楽の部品としてとらえた場合には非常に優秀な音質変化だと思います。

変化自体もよーく聞かないと分からないレベルですしね。まあ持っておいて損はないと思います。

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応用として、スプリッターとしての使い方もできます。

ループインに何も繋がない事によって、チューナーアウト、ループアウト、アンプアウトの三つから全く同じ信号を送り出せます。

後述しますが、この時ノイズフィルターはnoneにしておくのが無難です。

 

インプット・ローディング

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バッファーペダルの機能としてはEmpress最大の特徴となるこの機能。

右上についているこの小さいつまみで入力インピーダンスを調整することができます。

ちなみにすごく回しづらいです。その代わり一度設定すれば勝手に動くこともないので最初に念入りに調整しておきましょう。

 

なんか公式サイトには難しい事が書いてありますけど、分かり易く言えば「ハイファイ度調整つまみ」ってとこですかね。

右に回すほど原音に忠実に、左に回すほど角が取れて解像度が若干下がります。

このつまみでは音量はそこまで変わりませんが、音質の変化としてはギター本体のボリュームを絞った時の感じに似てますね。

 

個人的に硬い音のギターを使っていて、バンドサウンドの中で悪目立ちして困っているという方にオススメしたいです。

 

ブースター

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Buffer Plusの目玉機能の一つ。アンプアウトの直前でブーストします。

非常に原音に忠実なブースターです。ブースト量を増やしていっても聴覚的にどこかの帯域が偏ったりしないので、ソロに最後の音量調節に非常に便利です。

市販のブースターでは、ソロの時に元の音色のままブーストしたいのにブースターのキャラクターが強く出てしまう。

最後の段の歪みエフェクターで音量調節したいが、ボリュームを上げると余計な低域が出てしまう。

そんなお悩みを一発で解決してくれます。

 

つまみは左に回し切った時点でOFF時と全く同じ音量、音色になります。恐らくバッファー回路のボリュームを切り替えているのでしょうか?

ポップノイズも何もないので本当に何にも変わりません。

ボリュームカットはできないのであしからず。

 

インプット

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もうちょっと気の利いた名前は無かったのかい。無かったんでしょうね。

長くなりますが、これも分かりやすく言うと「ループアウト出力調整スイッチ」です。

「signal adequateness switch」?inputでいいですねはい。

入力と全く同じ音量で出力する「0db」、ピックアップの出力が高すぎるなどの要因によりループ内での意図しない歪みを抑える「-3db」、逆に出力の弱い信号を強化しループ内での無理なゲインアップを抑える「+3db」から選べます。

 

公式では+3dbにするとS/N比が高まるとか書いてあるんですが、これエフェクトペダルで無理に音量上げてノイズ増やすよりBuffer Plusでノイズレスにゲインを上げてエフェクトのノリも良くなって一石二鳥!って解釈でいいんでしょうか。

実際後段の歪みペダルで歪みやすくなるので基本的に+3dbでいいかと思われます。

 

余談ですが、これも多分ブーストと同じでギターインのバッファーのゲインを操作する機能と思われます。

 

ノイズフィルター

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待ってました!ただでさえ便利なブースター付きバッファーなのに、Buffer Plusにはノイズフィルターまでついてるんです。

これも公式サイトにはややこしい説明が載っていますが、簡単に言うと左から「ちょっと」「なにもしない」「たくさん」です。

注意しておきたいのがこのノイズフィルター、いわゆるノイズゲートとは全く異なる方法でノイズをカットしています。

オーディオで有名なDolbyの技術を応用したとありますが、仕組みとしては「ループアウトからは信号を高域を強調して送り出しループインでそのその高域を削って元に戻す」という物になります。

ノイズの乗りやすい帯域を先に強調しておき、そこにノイズが乗ったところでその帯域を削りトータルで元に戻し、結果的にノイズが減るという仕組みですね。

ノイズゲートと違ってリバーブやディレイの残響音を削ってしまわないのが大きな利点ですが、高音域のブースト・カットにより少なからず音質の変化が起きます。

表現が難しいのですが、高音域が少し曇る様な感覚がしますので、この音質が好みでない方にはあまり役に立たない機能になります。

それとこの機能はあくまでループ内で発生するノイズを抑制する機能ですので、ギター本体のノイズは消せません。

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あまり実用的ではありませんが、この機能の応用として「ノイズフィルターをオンにした状態でループインを使用せずにループアウトからそのままアンプに繋ぐ」という使い方ができます。

通常スプリッターとして使う際にはノイズフィルターをnoneにしておく必要がありますが、高域が強調されることを逆手にとってトレブルブースター代わりにしてしまうという使い方です。

公式サイトによるとlittleで3KHz以上の帯域で約6db、lotsで700Hz以上の帯域で最大15dbのリダクションを行うそうなので、ループアウトで強調された高域をループインに繋がないことでそのまま維持する事が出来ます。

使える音かどうかは微妙ですが、これが結構面白い音になります。

ノイズ対策をするとギターの美味しい部分も消えてしまうとはよく聞きますが、この700Hz以上というのもギターにとって美味しい帯域なんでしょうね。

lotsだとFenderアンプで高域全開にしてコンプレッサーかけまくったみたいな音でスラップやら何やらしたくなりますね。音が耳に刺さって痛いですが。

FishmanのTosin Abasiモデルのピックアップのシングルモードに似てるかも?

 

クランチペダルの中にはクリーン音を混ぜてきらびやかさを出しているペダルもあるので、ミキサーを導入してそういう使い方をするのは有りかもしれません。

 

ちなみにギターインを使用せず直接ループインに繋ぎ、アンプアウトから出力すると一瞬だけ高域の削られた音が出ますがその後2秒程かけてノイズが強まり、低域の強調された音にオクターバーがかかった様な音になります。

これも面白い音なのですが、ノイズの嵐で使い物にはなりません。

どういった仕組みでこの現象が起きるのかは分かりませんがアンプアウトのプラグを触るとノイズが多少マシになるのでアース関係かもしれません。

何かよからぬ動作をしているのは間違いなさそうなので、故障を避ける為にもやらない方が良さそうです。

これを真似してエフェクターが壊れても当ブログは一切責任を取りませんのでご了承ください。

 

まとめ

以上、一通りの機能と好奇心的な応用編の紹介でした。

すごいっすよねこれ。色んな役割をこれ一台でこなせるので、ボードの省スペース化にも一役買ってくれます。かゆいところに手が届きまくるメイド系ペダルです。

一台は持っていて損はないんじゃないでしょうか。

というか、中古で殆ど出回らないので本当に皆一台確保しているのかもしれません。

私も1年くらい探してました。私も多分手放しません。

 

これはネットで画像を見ていた時に気づいたのですが、エフェクターの基盤は通常のEmpress Bufferと同じ物を使用している様です。

プリントのパターンも同じですし、Plusのスイッチやポットにあたる部分がBufferでは空いたままになっていました。

ブースターとインプットの項目でも触れましたが、これらは恐らくバッファーのゲイン幅を変更する機能です。ノイズフィルターも同様にバッファーのイコライジングを利用した機能だと思われます。

どっかの定数を変更するスイッチをつけたり、ゲインを決める抵抗を可変抵抗に切り替えたりできる様にする。

そしてたったそれだけの変更点で、よくあるジャンクションボックス付きのバッファーにここまで機能を持たせている様です。それもどれも実用的で、実際便利。

 

大きく変えたり、新しく作り直したりするのには大きな労力とコストがかかりますが、ほんのちょっと変えるだけならそれほどでもありません。

Bufferによくあるノイズゲートを付け足せることが出来れば、もちろん便利でしょうがそれにはまた一からノイズゲートを設計し、Bufferに組み込むという手間がかかります。

それをBufferの回路にほんのちょっと手を加えるだけで似た様な機能を実現した。

それもノイズゲートにはない利点をそなえて。

 

Empress、すごくね?これが天才集団か。

 

 

一度使えば手放せない、誰にでも一度は試していただきたい極上ペダルでした。